妊娠中の卵巣嚢腫(のうしゅ)手術の体験談
私は、一人目を妊娠中の12週頃に卵巣嚢腫(のうしゅ)手術を受けました。
その時の体験を詳しくお話したいと思います。
妊娠が判明、それと共に卵巣嚢腫(のうしゅ)も見つかる
一人目を妊娠した平成15年9月、お医者さんにおめでとうございますと言われたのと共に、気になることも言われました。
それは、エコーで見ると卵巣が腫れている、ということでした。
卵巣は通常2~3センチほどですが、私の場合は5センチくらいはあり、妊娠によって一時的に腫れているかもしれないし、少し様子を見てみましょう、と言われました。
妊娠が判明して浮かれていたのに、まるで地獄に落とされたように不安に思ったのを覚えています。
その後、何度か検診にいくうち、血液検査で腫瘍マーカー(腫瘍の組織から分泌される特定の物質)が高いこと、卵巣の腫れが収まっていないことを指摘され、卵巣嚢腫(のうしゅ)の疑いがあるとお医者さんに言われました。
卵巣嚢腫(のうしゅ)?初めて聞く言葉に、頭が真っ白になりました。
卵巣嚢腫(のうしゅ)とは?
からだの臓器の中でもとくに卵巣にはいろいろな種類の腫瘍ができ、良性、悪性はもちろん境界悪性腫瘍と分類されるものもあります。
卵巣の腫瘍は
(1)水様性やゼリー状などの内容を含んだ嚢胞性の腫瘍
(2)こぶのようにかたい充実性の腫瘍
に大きく分けることができます。わが国では嚢胞性の腫瘍が5に対して、充実性の腫瘍は1の割合で、一般に充実性腫瘍は悪性の頻度が高いといわれています。嚢胞性腫瘍では約95%が良性に経過するとされ、この良性の嚢胞性腫瘍を一般に卵巣嚢腫と呼んでいます。
ベネッセウィメンズパークWeb家庭の医学より
卵巣嚢腫(のうしゅ)とは、一言で言うと、卵巣にできた腫瘍(しゅよう)のことです。腫瘍(しゅよう)には、悪性(ガン)と良性があります。お医者さんにはエコーで見る限り、良性に見えるけど、最終的には取り出して調べないと分からない、と言われました。
そして、子宮が大きくなってくると、手術がしにくくなること、手術しないで放置すると、茎捻転と言って、腫瘍がお腹の中でねじれて激痛が怒る可能性があることを指摘されました。
そして、赤ちゃんへの影響が一番低い12週以降に手術することを勧められたのです。
妊娠中に手術!?
妊娠中に手術するなんて、そんな話、私の周りでは聞いたことがありませんでしたし、そのことによる赤ちゃんへの影響を考えると、夜も眠れない日が続きました。
初めての妊娠で、こんなことが起こるなんて考えもしませんでした。
ネットでいろいろ調べましたが、妊娠中に手術された方の記録などほとんどありません。やっぱり、めったにあることじゃないよね・・・。
そんな時、一人の女性のサイトに出会いました。
その方も妊娠中に卵巣嚢腫が発覚し、手術したという経緯が書かれていました。私は、その方の日記を何度も何度も繰り返し読んだのを覚えています。
妊娠中に手術を受けるリスク
いよいよ手術が近づくについて、お医者さんからインフォームドコンセントが行われました。
①MRIでより詳しく検査し、卵巣嚢腫(のうしゅ)があることが確認されました。
②そして、腫瘍は8-10センチ程度あり、やはり手術(開腹手術)が必要であるということ。
③胎児への影響、子宮の大きさを考慮して、手術は12週以降に行うということ。
④麻酔は体への負担を考えて下半身麻酔とすること。また次回の妊娠を希望しているので、卵巣そのものではなく、腫瘍部分のみを様子を見てから摘出するということ。
➄手術によって流産の可能性があるということ。
やはり、流産の可能性は否定できません。難しい手術ではないとお医者さんは言っていたけど、生まれて初めての手術が妊娠中になってしまったことに、後悔の念が絶えませんでした。
手術によって、胎児に障害がでるのでは?という心配
インフォームドコンセントで説明されなかったことで、心配していたことがありました。
それは、この手術によって胎児に障害が出るのでは?ということです。
お医者さんに聞くことにためらいがありましたが、心配なので聞きました。
12週にもなると、胎児の器官はほとんど完成しているので、手術によって胎児に障害がでるということは通常はありません、とお医者さんはおっしゃいました。
「通常は」ということは、例外的にはあるのかもしれない・・・。
そう思うと、やはり妊娠中の手術というのがいかにリスクを伴うものなのか、思い知らされました。
腹をくくって、手術を受ける
でも、もう、こうなったら腹をくくって手術を受けるしかありません。
秋晴れの爽やかな日に、母と夫に連れ添ってもらい、入院の手続きをとりました。
入院した日は、手術に備えて剃毛されました。看護師さんは、私の緊張をほぐすように、和やかに話かけてくれていました。
そして、手術当日。
車いすに乗せられ、夫と母に見送られ・・・その時の二人の心配げな顔は、今も忘れられません。
手術室はとても寒く、手術台はひんやりとしていて、うすいブルーがますます寒さを助長していました。
下半身麻酔なので、ずっと意識はありました。器具のカチャカチャいう音と、先生の指示が聞こえました。
不安と緊張で泣きそうでしたが、助手の方が私の手をずっと握ってくれていて、それがとても心強く感じました。
かかった時間は覚えていませんが、そんなに長くなかったように思います。
「お疲れ様でした。終わりましたよ」という先生の声に、「お腹のお肉、分厚くなかったですか」と冗談を言ったのを覚えています。
先生は、「少しね(笑)」と言って、笑ってくれました。無事に終わったんだなぁ・・・と気が緩みました。
痛みと、流産の恐怖に耐える
麻酔が切れると、もう冗談など言える余裕はありませんでした。傷口がきりきり、ずきずきと痛んできました。
1時間置きに、看護師さんが出血がないか確認しにきます。寝てるしかないわけだけど、お腹の痛みと、流産の不安で押しつぶされそうでした。
お腹の張り止めのお薬(ウテメリンだったと記憶)が、点滴で送られてきます。
「一緒に、がんばろうね・・・」私はお腹の子に呟きました。その日は熱が出て、看護師さんが氷枕を持ってきてくれたり、何かと周りがバタバタしていました。
うつらうつらしつつも、痛みで目が覚める、そんな夜となりました。
そして、次の日には痛みもだいぶん収まり、尿管が抜かれ、自分でトイレに行くことになりました。
手術の次の日にはもう起き上がっていいということに驚きましたが、お腹が痛くてなかなか力をいれることができません。
お腹の張り止めの点滴はしたままなので、動きづらい。
トイレに行って、恐る恐る傷口を見てみると・・・卒倒しそうになりました。
黒いホッチキスが、8個。その上から透明なテープで傷口がおおわれていました。糸じゃないんだ・・・。
グロテスクなその姿にショックを受けつつ・・・でも、1日経ったら慣れました(笑)
その後は順調に回復し、手術3日後には、自分で病院のコインランドリーに洗濯に行けるほどになりました。
そして手術後6日目に抜糸、腫瘍も良性との結果がでて、手術後7日目に無事退院の運びとなりました。
その後、無事出産
手術から半年後、無事に元気な男の子を出産することができました。
手術による障害や後遺症もなく、すくすくと大きくなりました。私は卵巣を部分的に切除しましたが、その後、二人目を授かることもできました。
もし私のような心配を抱えて、この記事にたどり着いてくださった方がいらっしゃったら、この記事が参考になれば幸いです。
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コメント
私も妊娠と同時に卵巣が腫れていると言われ手術になると思います。
MRIは妊娠何周頃受けましたか?
今お子さんは無事でしょうか?
教えて下さい。
イチゴさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
イチゴさんも卵巣が腫れているのですね。
妊娠中の手術というのは、やはりとても心配ですよね。
私がMRIを受けたのは、妊娠11~12週の頃だったと思います。
MRIを受ける前に同意書を書かされ、移動のエレベーターの中で、この子の将来に何かあったらどうしよう・・・と夫に不安を口にしたことを今でもはっきりと覚えています。
そんな心配をした我が子ですが、2565グラムと小さめに生まれたものの、妊娠中のMRIや手術による障害も何もなく、健康に生まれてきてくれました。
早いもので、もう11歳になります。
生まれた時は小さかったですが、今ではクラスで一番背が高いです(^_^;)
イチゴさんも今はとても不安だと思いますが、私の時よりも今はもっと情報もありますし、技術も進歩しています。
主治医の先生とよくお話をされて、納得のいく方法を選んでくださいね。
私でよければ、いつでもご相談に乗りますよ^^
詳しい説明ありがとうございます!!
私も来月、12週と0日の時にMRI受ける予定なので心配でした(>_<)
今では健康にすくすく11才になられてるとのこと良かったです!!
私も怖いけど頑張ります!
不安が少し解消しました!
ありがとうございました!
イチゴさん
少しでもお力になれたのなら、とても嬉しいです^^
赤ちゃんに与える影響を考慮すると、やはり12週というのがひとつの目安なのでしょうね。
不安でご心配だと思いますが、ご家族と一緒にきっと乗り越えられると思います。
これからますます寒くなってきますので、どうぞ温かくしてお過ごしくださいね^^